1.シンポジウム・テーマ
「歴史のなかのセクシュアリティ―同性愛/性的指向の比較文化史」
≪企画趣旨≫
セクシュアリティは重要な人権の1つである。近年の国際社会では、ジェンダー主流化の流れに即して性的指向にもとづく差別を禁止し、セクシュアル・アイデンティティを保障する動きが強まっている。同性婚や同性間パートナーシップを合法化する国も増えた。しかしながら、セクシュアリティの権利を抑圧する差別や暴力が消えたわけではない。今回のシンポジウムでは、セクシュアリティに関する多様な問題群のなかでも、とくに権利をめぐる変化が著しい同性愛の問題に焦点をあてたい。
セクシュアリティ規範は宗教や文化と深く結びついている。国家や共同体などの公権力もまたセクシュアリティの管理に強い関心を抱いてきた。セクシュアリティが婚姻や生殖(再生産)の問題とつねに不可分だからである。しかしながら、キリスト教社会やイスラム教社会とは異なり、日本では異性愛主義が法規範として貫徹されたわけではない。ただし、それは性愛や性的指向の権利を認めてきたことを意味しない。今日の日本は近隣のアジア諸国と比べてもジェンダー主流化が著しく立ち後れ、セクシュアリティの多様性を尊重する社会にはほど遠い。このような原因はいったいどこにあるのか。
シンポジウムでは歴史学・法学・文学のそれぞれの視点から同性愛を含む性的指向や非異性愛の意味づけについて論じ、将来への展望を拓くための手がかりを探りたい。
2.開催日
・2013年6月8日(土)13:00~17:00
・場所:奈良女子大学 文学系S棟(南棟)2階 S235教室
3.プログラム
12:30 受付開始・開場
13:00~13:05 開会挨拶・総合司会
野村鮎子(奈良女子大学アジア・ジェンダー文化学研究センター長:中国文学)
13:05~13:30 三成美保(奈良女子大学:ジェンダー法学・ジェンダー史・ジェンダー法史学)
「同性愛の位相-歴史学と法学のコラボから見えてくるもの」
(著書『ジェンダーの法史学―近代ドイツの家族とセクシュアリティ』勁草書房、2005年)
13:30~14:00 木村朗子(津田塾大学:日本古典文学・日本文化研究・女性学)
「性愛を規制するものはなにか―摂関期宮廷社会の性の配置」
(著書『恋する物語のホモセクシュアリティ-宮廷社会と権力』青土社、2008年)
14:00~14:30 内田雅克(東北芸術工科大学:男性史)
「ウィークネス・フォビアとホモ・フォビア」
(著書『大日本帝国の「少年」と「男性性」-少年少女雑誌に見る「ウイークネス・フォビアー」』明石書店、2010年)
14:30~15:00 谷口洋幸(高岡法科大学:国際人権法)
「国連システムにおける同性愛/性的指向と人権保障の展開」
(共編著『性的マイノリティ判例解説』信山社、2011年)
15:00~15:10 休憩(質問用紙回収)
15:10~15:30 コメント1 田野大輔(甲南大学:ドイツ現代史)
(著書『愛と欲望のナチズム』講談社選書メチエ、2012年)
15:30~15:50
コメント2 二宮周平(立命館大学:家族法)
(著書『家族と法―個人化と多様化の中で』岩波新書、2007年)
15:50~17:00 討論
司会:長志珠絵(神戸大学:日本近代史)・鈴木則子(奈良女子大学:日本近世史)
4.共催
奈良女子大学アジア・ジェンダー文化学研究センター
ジェンダー法学会関西部会
5.茶話会
シンポジウム終了後、ラウンジ(文学部S棟(南棟)1階)にて茶話会を開催。受付にて参加希望者から実費500円を徴収。
6.託児システム
「奈良女子大学イベント託児システム」を利用
・生後3か月~小学校6年までの子どもが対象
・大学の保険制度あり(利用者の負担はなし)
・2週間前に「託児申し込み締め切り日」を設定
・個別託児(1対1の保育)土曜なので時給800円
・集団託児(2人以上の保育サポーターによる保育)時給1300円と1000円
・当日、利用者負担