2017年12月26日火曜日

会員の皆様へのお知らせーーー代表理事 石川照子

会員の皆様へのお知らせ
代表理事 石川照子

 今年もあと僅かとなりました。皆様にとってはどんな一年だったでしょうか。
1217()に開催された第14回ジェンダー史学会年次大会は天気にも恵まれ、「ジェンダー史が拓く歴史教育」をタイトルに掲げたシンポジウムには、160名もの方が参加され大盛況となりました。高校の歴史科目が大きく変わることとなり、また大学センター入試も新たな入試制度に変更されることが決まった今、大変時宜に適った内容で多数の方の関心を呼んだのだと思います。
 そのシンポジウムに先立って、総会が開催されました。その議題の中で提案、承認された2つの事項について、会員の皆様に以下お知らせ致します。

    春のシンポジウムの休止について
 常任理事会、常任理事会・理事会・参与会での議論を経て、提案されました。
 本学会創立以来、春のシンポジウムが毎年通例として開催されてきました。それは地方の会員開拓が目的の一つとしてあり、意識的に地方で開催してきました。地方女性史の研究者との連携や成果の交換も一つの目的でした。
しかし、学会も創立から10年以上を経て、一定以上の目標を達成できたのではないかと思います。また、このような小規模の学会にあって、春・秋の2回のシンポジウムを維持することが困難になってきました。それは具体的には、開催会場探しや人員確保の問題です。また、テーマを決めることも困難になってきています。
そこで、春のシンポジウムの開催を今後どうすべきか検討するべき時が来ているのではないか、年次大会に集中する意味で、春のシンポを一時辞めるという選択もあるのではないかと、まず代表理事・副理事の間で話し合いがもたれました。
さらに常任理事会、常任理事会・理事会・参与会で議論を重ねた結果、春のシンポジウムを休止するという結論に達しました。そして今回の総会で提案を行い、出席会員の承認を得て、最終決定致しました。
なお併せて、今回の奈良女子大学での開催のように、年次大会の開催を全国化してゆくことも承認されました。
以上、会員の皆様の御理解を御願い申し上げます。

    年次大会自由論題でのパネル報告について
年次大会の午前中に行われる自由論題でパネル報告を行う場合は、発表者は3人以上とすることが提案、承認されました。なお、発表者と司会者を兼ねてもかまいません。

 最後に、今回の年次大会を周到に準備下さった野村鮎子常任理事、三成美保常任理事、山崎明子理事をはじめ奈良女子大学の関係者の方々に、改めて御礼申し上げます。



 

2017年11月22日水曜日

『ジェンダー史学』14号投稿申し込み期日の延長について


『ジェンダー史学』14号(2018年10月刊行予定)の投稿申し込み期日を
★2017月12月7日まで★に延長します。
(申し込み手続きの詳細は学会HP「会誌」投稿規定10をご覧ください)

会員の皆さんの積極的な申し込みをお待ちしています。
なお、投稿の締め切りは2018年1月15日と変更ありません。
                 『ジェンダー史学』編集委員会

2017年11月1日水曜日

2017年ジェンダー史学会第14回年次大会

2017年ジェンダー史学会第14回年次大会

▼日程 2017年12月17日(日) 10時~17時40分

▼会場 奈良女子大学総合研究棟S棟(文学系)
 〒630-8506 奈良市北魚屋東町
  メイン会場(総会・シンポジウム):S235教室
  自由論題・パネル報告会場: S124、S125、S126、S227、S228教室

▼アクセス
 近鉄電車「近鉄奈良」(1番出口)から徒歩約5分
または JR奈良駅からバス5分「近鉄奈良」下車で徒歩約5分
http://www.nara-wu.ac.jp/nwu/intro/access/map/index.html

▼大会参加費 学会員1000円、非会員1000円、院生500円、学部生無料
 茶話会参加費 1000円

▼問い合わせ先:
〒630-8506 奈良市北魚屋東町 奈良女子大学アジア・ジェンダー文化学研究センター      
E-mail: a-gender.c@cc.nara-wu.ac.jp   電話/fax 0742-20-3611

▼託児制度
 奈良女子大学に託児制度があります。(満3か月以上、料金1時間800円)12月11日(月)までに上記のアジア・ジェンダー文化学研究センターあてに申し込みください。

▼タイムスケジュール
 受付開始 9時30分~
 自由論題発表 10時~12時25分
パネル報告  10時~12時10分
総会 12時45分~13時15分
シンポジウム 13時30分~17時40分
茶話会 18時~19時
▼以下、スケジュールの詳細です。

▼自由論題 10:00 – 12:25(パネル報告は12:10まで)
部会A  司会:京樂真帆子(滋賀県立大学)
10:00 – 10:25
林春伽(神奈川大学)
血盆経の新しい解釈方法の提案―女性差別以外の視点―
10:30 – 10:55
具知會(東京大学)
尼寺と大名家女性の入寺―英勝寺と水戸家との関係を中心に―
11:00 – 11:25
山家悠平(京都造形芸術大学)
娼妓から娼妓たちへ――活字メディアは遊廓における生活にどのような影響を与えたか
11:30 – 11:55
斉藤利彦(学習院大学)
戦争最末期における女子学徒の「決戦」
12:00 – 12:25
大原関一浩(摂南大学)
オーストラリア「からゆきさん」の歴史研究―比較の視点から―

部会 B  司会:高松百香(東京大学)
10:00 – 10:25
植田朱美(岩手女性史を紡ぐ会)
三度の津波と戦争を越えて
10:30 – 10:55
木村尚子(広島市立大学)
戦後の「赤ちゃんコンクール」と母子保健における「標準化像」の形成
11:00 – 11:25
前川直哉(東京大学)
「兄貴」から「恋人」へ―戦後日本における男性同性愛者と親密性―
11:30 – 11:55
鄧婉瑩(東京学芸大学)
日本人配偶者を持つ中国人女性像の変容―1980年代後半以降の言説・記述分析を中心に―
12:00 – 12:25
佐々木啓子(電気通信大学)
情報・通信技術の発達とジェンダー―情報理工学系女性のキャリア形成を中心として―

部会C  司会:飯沼健子(専修大学)
10:00 – 10:25
佐伯(片倉)彩那(大阪市立大学)
12世紀ビザンツの歴史書『アレクシオス1世伝』に見る産室と出産
10:30 – 10:55
内藤葉子(関西大学)
マリアンネ・ヴェーバーにおける〈女性性〉の自然主義的最定位への批判―女性の近代的主体化との関連で―
11:00 – 11:25
ユ・ラジュ(一橋大学)
アンジェラ・デイヴィスの生が提起する問題
11:30 – 11:55
アリフィア・マシタ・デヴィ(奈良女子大学)
インドネシア映画に描かれた女子教育『Perempuan Berkalung Sorban(ターバンを巻いた女)』の分析から―
12:00 – 12:25
池田明日香(ジャン・ムーラン・リヨン第三大学)
1970年代のウーマン・リブ運動における表現とイメージに関するフェミニズム的実践

【パネル報告】10:00 – 12:10
パネルA
10:00 – 11:00
近代日本の描き方-----美術の主体と客体としての女性
乾淑子(東海大学) 司会
小川知子(大阪市立美術館)
ハンス・トムセン(チューリッヒ大学)

パネルB
11:10 - 12:10
戦後女性労働史を再考する―福井県勝山市における事例を踏まえて―
木本喜美子(一橋大学)兼司会
野依智子(福岡女子大学)
早川紀代(明治大学)

パネルC
10:00 - 11:00
太平洋戦争期の日本女性の慰問文化と「慰問袋」―「慰問」概念とその実践―
藤木直実(日本女子大学) 司会
森理恵(日本女子大学)
山崎明子(奈良女子大学)

パネルD
11:10 - 12:10
大衆メディアに見る「総力戦体制」の表象と戦後における連続性
池川玲子(大阪経済法科大学)司会
杉村使乃(共立女子大学)
松本ますみ(室蘭工業大学)
平塚博子(日本大学)


▼シンポジウム
「ジェンダー史が拓く歴史教育——ジェンダー視点は歴史的思考をどう鍛えるか?」
共催:奈良女子大学アジア・ジェンダー文化学研究センター、高大連携歴史教育研究会、科研費基盤研究(A)「ジェンダー視点に立つ『新しい世界史』の構想と『市民教養』としての構築・発信」(代表:三成美保)
後援:日本ジェンダー学会、ジェンダー法学会
シンポジウム趣旨:
いまふたたび高校の歴史教育が大きく変わろうとしている。しかし、その改革にジェンダー視点は乏しい。
ジェンダー視点は歴史認識を豊かにする。女性をエンパワメントするためにも、民族やセクシュアリティに関するマイノリティの尊厳を回復するためにもジェンダー史は不可欠である。では、高校教育や大学教育において、ジェンダー史をどのように教えればよいのか。
シンポジウムでは、第一部で、高校教育現場での課題をふまえジェンダー史として貢献可能な方向性を示す。第二部では、「家・家族」「植民地支配」「戦争と性暴力」につき、具体的な資料や授業例を提案する。第三部では、大学・高校の歴史教育においてジェンダー史が十分に認知され、活用されるために何が必要かについて意見交換を行う。
シンポジウムを通して、教育現場で求められていることとジェンダー史研究者に求められていることを確認し、今後、教育と研究が豊かな協力関係を築くための具体的な課題を明らかにしたい。

開会挨拶・趣旨説明13:30 - 13:40 
ジェンダー視点に立つ歴史教育の課題:HPの活用を含めて(三成美保:奈良女子大学) 
第1部13:40~15:00
<歴史教育改革とジェンダー――高校新科目「歴史総合」「日本史探究」「世界史探究」への提案>
報告1 ジェンダー視点から見た歴史教育の可能性(小浜正子:日本大学)
コメント1 女性史とジェンダー史――ジェンダー射程を考える(長志珠絵:神戸大学)
報告2 ジェンダー視点をどう取り入れるか?――高校歴史教育の現場から(川島啓一:同志社高等学校)
コメント2 高校歴史教育でLGBTIをどう教えるか?(三成美保:奈良女子大学)
第2部15:10~16:25
<歴史を読み替える――ジェンダー視点で鍛える歴史的思考力>
報告3 「家/家族」の社会的機能をどう考えさせるか?――前近代日本史から(久留島典子:東京大学)  
報告4 植民地支配と多様な「近代」――アフリカ史の場合(富永智津子:宮城女学院大学)
報告5 戦争・紛争と性暴力――(成田龍一:日本女子大学)
コメント3 高校歴史教育で慰安婦問題をどう教えるか?(姜聖律:大阪府立大学桃谷高等学校)   
第3部16:30 – 17:40 
<総合討論――ジェンダー史の可能性>
司会:井野瀬久美恵(甲南大学)、三成美保(奈良女子大学)

2017年4月25日火曜日

2017年春のシンポ 「近代東アジアのキリスト教とジェンダー:日・中・韓の比較」

2017年ジェンダー史学会春のシンポジウム

「近代東アジアのキリスト教とジェンダー:日・中・韓の比較」

日時: 2017年 6月17日(土) 13:00(受付開始12:30)~17:00
場所:フェリス女学院大学緑園キャンパス2号館2403教室
   〒245-8650 横浜市泉区緑園4-5-3
  横浜駅から相鉄いずみ野線「緑園都市駅」下車・徒歩3分
JR横須賀線「東戸塚駅」で神奈中バス(緑園都市駅行)に乗り「フェリス女学院」下車・徒歩1分
http://www.ferris.ac.jp/access/
入場無料

(1)シンポジウムの趣旨

本シンポジウムは、近代の日本、中国、朝鮮において、主に北米のプロテスタント女性宣教師によってもたらされたキリスト教が、各国のジェンダー構造にどのような介入を行い、それらはどのような交渉過程を経、どのように「現地化」されていったかを問う。東アジアの近代化におけるジェンダー再編へのプロテスタント・キリスト教の関わりとその結果は、日本、中国、朝鮮を比較した場合、どのような共通点と差異があったのだろうか。
北米発のプロテスタント伝道は、中国(広東)で1830年、日本(神奈川・長崎)で1859年、朝鮮(ソウル)で1884年に始まった。したがって、この順番で考えていくのが順当のようにも見えるが、実際に宣教師のメッセージなり、活動なりが注目されたのは、各国が「西洋近代」に目を向け、伝統社会の変革を試みようとした時期であった。特に、北米発のキリスト教伝道の顕著な特徴であった女子教育を基盤とするジェンダー構築への介入は、各国の近代化=西洋化への欲望の高まりと深く関係していた。したがって、そのモメントが訪れた順——19世紀後半の日本、20世紀初頭の中国、朝鮮——に検討を進める。
こうした試みは、伝統、近代化過程、ナショナリズム、ジェンダー構造にみられるそれぞれの国や地域の特徴を照射する可能性を秘めるとともに、北米の東アジアへの介入過程の変遷を跡づけることにもつながるであろう。同時に、それは、東アジアにおけるジェンダー構造の「近代化」に見られる、北米=西洋との交渉過程の時系列と空間的拡大を提示することにもなろう。さらに、東アジアにおける「キリスト教」や宣教師の影響が、通常イメージされるように、特殊で、狭い範囲のものではなく、ジェンダー構造の根本に揺さぶりをかけたエージェントであったことも了解されるはずである。
 ジェンダーをめぐるこのテーマの研究は、個別の国や地域についてある程度の蓄積がすでにある。しかし、比較にまで踏み込んだ議論は未だなされているとは言いがたい。本シンポジウムは、その未開の分野の扉をたたく野心的な試みである。

       
(2)シンポジウム報告要旨

報告1: 小檜山ルイ「共和国の母」から官製良妻賢母へ                  

 近代日本におけるジェンダー構築へのキリスト教の介入が本格化したのは1869年、プロテスタントの独身女性宣教師がアメリカから到来、定住してからのことである。独身女性宣教師は、女子教育を手がけ、そこで当事者の意思と選択に基づく一夫一婦の結婚、夫と子供に対して道徳的・教育的権威と権力を及ぼす母親役割、妻・母としての女性が主宰する「家庭(ホーム)」の創造等を強調し、「文明」の水準を満たすはずの女性像を提示した。
 本報告では、このような教育が、1)伝道の必要から出たこと、2)同時に、建国期の「共和国の母」を引き継ぐ、19世紀後半のアメリカにおける女性の政治文化に根ざしたもので、独特の政治性——「自己犠牲」の徳に依拠する屈折したーーを含んでいたことを指摘する。
 女性宣教師による教育は、19世紀後半の日本社会において次のような点で新しいものであった。第1に、配偶者選択における、自らの意志の発動という点。それは、女性に自我を認識させることであった。第2に、妻・母と娼・妾に分離されていた女性を統合しようとしたこと。女性宣教師が図らずも奨励した女性とは、セクシュアリティを備える妻であり母であった。第3に、そのような女性が司る家——「ホーム(家庭)」——では、女性の労働は基本的に再生産に特化されたにもかかわらず、相対的にその地位が高かったこと。第4に「家庭」の「主婦」の役割の一つとして「幼児教育」や「病人の世話」にかかる技能を教育課程に入れようとしたこと、第5に女性の権力基盤に、世俗の権力を相対化しうるキリスト教を据えたこと。
 女性宣教師による教育は、1890年代の国家主義の高まりのなかで、日本人によって批判されるようになった。そして、日本政府は、信頼や権力につながり易い医学分野におけるリーダーシップ宣教師からまず取りあげ、次いで1899年の訓令12号によってキリスト教を教育課程から排除しようとした。結果、宣教師は義務教育である小学校から手を引いた。同時に、官立高等女学校を整備してキリスト教のかわりに教育勅語を置き、「家」を前提とした「良妻賢母主義」を掲げ、女子中等教育の主流とした。(公娼制度や妾を維持し、女性の一元化の企ては未完のまま放置した。)その一方で、「主婦」としての教養や家事の技能を持ち、「自己犠牲」の徳で家族や社会に奉仕するという、女性宣教師が唱道した女性像の一部は維持された。

報告2:佐々木一惠 「新しい女」をめぐるポリティクス:アメリカ人女性宣教師と民国期中国におけるジェンダーの再編                
                                  
近代中国におけるジェンダーの(再)構築にキリスト教が及ぼした影響を考えるには、中国での帝国主義列強の勢力拡張の動きと、それに抵抗する中国のグローバルな近代性の再領土化の双方を視野に入れていく必要があるだろう。この複眼的な試みの一環として、本発表では、民国期前半の中国におけるアメリカ人女性宣教師による女子高等教育の事例を取り上げ、近代的で自立した「新しい女」の育成を試みたアメリカ人女性宣教師と、「新しい女」を目指した中国人女子学生との関係を検討する。
20世紀初頭、アメリカ合衆国から中国に渡った女性宣教師の教師、とりわけリベラル派のキリスト教国際主義の影響を受けた女性たちは、家庭を基盤とするヴィクトリアン・プロテスタンティズムから距離を置き、彼女たちが新たな時代のキリスト教の実践と考えたジェンダーの民主化を推進するための女子高等教育を展開していった。1910年代後半、彼女たちは、精神的・経済的に自立し社会に貢献できる「新しい女」を目指す中国人女子学生にとって、身近なロール・モデルとなっていく。しかし1920年代に入り、ウッドロー・ウィルソンが掲げた民主主義的な国際主義に対する失望が中国で広がり、また反帝国主義運動の気運が高まる中、アメリカ人女性宣教師の教師たちは近隣の学校の中国人男子学生の批判の対象となっていった。同時に、アメリカ人女性宣教師の教師たちは、自分たちを追従していると考えていた中国人女子学生たちに、自分たちとの違いを見出していく。
本発表では、アメリカ人女性宣教師がグローバルな近代性として掲げたリベラル派キリスト教のジェンダー観が、民国期における「国民」形成に伴うジェンダー再編の只中で、近代的な主体のあり方を模索していた中国人女子学生によって、どのように解釈・実践され、またそれが中国を取り巻く歴史状況の変化の中でどのような波紋を呼んでいったかを議論していく。

報告3: 朴 宣美「朝鮮に渡った帝国のエージェントたち―アメリカ女性宣教師と日本人女教師を中心に―」
                                        
 植民地朝鮮における近代的なジェンダー意識の形成と普及につとめた女性エージェントとして、アメリカを中心とする欧米からの女性宣教師、日本人女教師、そして朝鮮人女教師を取り上げることができる。報告では、まず、どの教派の海外女性伝道組織より、送り先の異教地における女子高等教育に貢献した、アメリカ北メソジスト監督教会海外女性伝道協会(Woman's Friend Missionary Society of the Methodist Episcopal Church)を中心に、女性宣教師のジェンダー意識を検討する。また、アメリカ女性宣教師たちの派遣先の中の日本の場合、女性宣教師が始めた教育から影響を受けるにとどまらず、アジアの国々、特に日本の支配地域に女教師を送った。たとえば、日本のミッションスクールで養成された日本人女性が朝鮮のミッションスクールなどで教えていたことは、その重要な事例になろう。報告では、このような日本人女性たちの事例の検討を行う。最後に、女性宣教師たちや日本人女教師たちの認識を朝鮮人女教師と比較する。女性宣教師や日本人女教師の影響をうけ、また、彼女たちを養成したアメリカや日本で教育を受けることによって、女教師として成長した朝鮮人女性は、どのようなジェンダー意識を持つようになったかを見る。こうした分析を通して、植民地朝鮮における近代的なジェンダー意識を作り上げた女性は誰で、その意識はどのように生まれ、何が新しく提示されたかを明らかにする。