2021年8月16日月曜日

ジェンダー史学会2021年度会員企画「教育×ジェンダー×歴史」セミナー

「教育×ジェンダー×歴史」セミナー(ジェンダー史学会2021年度会員企画)

【開催日時】9月18日(土)10:00~15:30頃

【開催方式】zoom(参加方法は8月末のニューズレター及びHPでお知らせいたします。)


 本企画の目的は、教育とジェンダーに関する様々な歴史研究の成果や知見を重ね合わせることで、教育学及び歴史学による新たなジェンダー史像の構築を目指すことで、特徴は次の三点となっております。

(1)近代以降の女子教育あるいは教育とジェンダー規範の関係についての研究は、教育学及び歴史学の分野で特に20世紀末以降進んでいるが、この二つの分野の知見を統合する試みはまだ進んでいない。ワークショップの形式でこれらの分野の研究者が研究成果を報告しあい意見交換をすることで、ジェンダー・教育・歴史が重なり合う場をつくりあげる。

(2)近年の歴史研究においては、環大西洋史研究に代表されるように、一国の枠組みを超えた人・モノ・思想の交流に着目するグローバル・ヒストリーという視角が積極的に取り入れられていることを鑑み、本企画において日本、ヨーロッパ、アメリカ等比較史的なジェンダー×教育史像を探る。

(3)この分野において第一人者である研究者を招いてはじめに短時間での基調講演をしていただき、ワークショップでは若手研究者(大学院生を含む)の今後の研究展開におけるアドヴァイスの場となるような機会を提供し、最後のディスカッションにおいて本学会会員が研究テーマをめぐって自由闊達に意見交換し、交流する場を設ける。


プログラム(案) ※敬称略

第一部(午前)基調講演 

佐久間亜紀(慶應大学教職課程センター教授)

 教育学と女性学と歴史学の架橋をめざして:可能性と課題

小玉亮子(お茶の水女子大学基幹研究院教授)

 ジェンダー史の視点に立つ教育史研究の展開


第二部(午後)ワークショップ(院生、若手研究者による報告と講師によるコメント)

﨑山みき(一橋大学大学院社会学研究科 博士課程)

 アメリカ化運動におけるアウトリーチ型の家庭科教育(1910年-20年代)ー日本人移民女性のための料理教育を主たる事例として

重松美有紀(青山学院高等部・淑徳巣鴨中学高等学校 非常勤講師)

 フランスにおける教育者団体ユニヴェルシテとジェンダー ―アンリエット・カンパン(1752-1822)の思想とその継承・変容―

土屋 匠平(一橋大学大学院社会学研究科 修士課程)

 「愛情弁当」イデオロギーの起源を探る―1920-30年代の学童弁当改善論と学校給食導入論におけるナショナリズムとジェンダー


             代表者:鈴木周太郎(鶴見大学):suzuki-s@tsurumi-u.ac.jp

                 荒木和華子(新潟県立大学):arakiw@unii.ac.jp


ジェンダー史学会2021年度会員企画「1987年民主化後の台湾と韓国におけるフェミニズムと文学」

ジェンダー史学会会員企画

「1987年民主化後の台湾と韓国におけるフェミニズムと文学」


日時:2021年9月25日(土)13時~17時(予定)

    参加費無料、ZOOMを使用したウェビナー方式

    事前申し込みが必要です。先着200名までとさせていただきます。

    セミナー申込みアドレス - Google フォーム ←こちらのリンクに必要事項の入力をお願いいたします。


報告1:「可視化」と「規範化」の間でーフェミニズムリブート後、韓国クィア文学場の

想像力    

             呉慧珍(韓国・成均館大学)

    使用言語ー韓国語、通訳あり

報告2:同性婚以前:台湾の地方に生きるレズビアンの表象、苦境と突破-1990年代の

    小説/映画『失声画眉』におけるジェンダー政治と時代環境

    曾秀萍(台湾・国立台湾師範大学)  

    使用言語ー中国語、通訳あり

コメント:崔誠姫(韓国)・橋本恭子(台湾)


お問い合わせ:1987taiwankorea@gmail.com

主催:崔誠姫(日本女子大学)・橋本恭子(日本社会事業大学)

協賛:ジェンダー史学会

 

2021年8月3日火曜日

ジェンダー史学会 第18回年次大会(2021年)updates(10/1現在)

ジェンダー史学会 第18回年次大会(2021年) 

ジェンダー史学会第18回年次大会は、2021年12月12日(日)、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、オンラインで開催する予定です。

●日時:2020年12月12日(日)10:00〜17:30
●会議プラットフォーム:Zoom
●実施校:同志社大学
●タイム・スケジュール(詳細は下記)
受付開始 9:30〜
自由論題およびパネル報告 10:00〜12:15
総会 12:30〜13:15
シンポジウム 13:30〜17:30
●大会参加費  無料


自由論題報告 題目&タイム・スケジュール 

部会 A  司会:田中 亜以子(一橋大学)            
10:00―10:30
◆山田 千聡(名古屋女子大学)
「料理のジェンダー化―19 世紀英米のレシピから読み解く近代主婦規範―」
10:35―11:05
◆小関 孝子(跡見学園女子大学)
「大正中期における職業としての『女給』」
11:10―11:40
◆原田 理子(関西学院大学博士課程)
「日本の性科学における女性同性愛者―科学による排除の肯定―」

部会 B 司会:野本京子(東京外国語大学名誉教授)             
10:00―10:30
◆クロエ ベレック(東北大学)
「ジェンダーの視点から見た薙刀の歴史――中世における武士の武器から近世における
武家女性の武器へ」
10:35―11:05
◆橋村 愛子(金沢大学、日本学術振興会特別研究員 RPD)
「日本中世絵画にみる仏道修行者としての苦しみの女――食・酒・病と良医妙薬喩(法華
経寿量品)の図像を中心に――」
11:10―11:40
◆陣内 恵梨(大阪大学博士課程)
「神功皇后図像の再検証――1880−90 年代の女権運動における神功皇后の読み替え――」

部会 C 司会:加藤 千香子(横浜国立大学)          
10:00―10:30
◆今井 小の実(関西学院大学)
「軍事救護法の成立と愛国婦人会の組織におけるジェンダー強化」
10:35―11:05
◆崔 誠姫(日本女子大学)
「奈良女子高等師範学校の朝鮮人留学生」
11:10―11:40
◆楊 雅韻(京都大学博士課程)
「戦後日本における男性性の再構築ー化粧を事例に」

部会 D (パネル報告)                   
10:00―11:00
◆代表者:杉村 使乃 (共立女子大学)
題目: 「戦後の女性警察官表象とキャリア形成における国際比較」
報告者 1 杉村 使乃(共立女子大学)
「イギリス女性警察官表象」
報告者 2 平塚 博子(日本大学)
「アメリカの大衆メディアにおける女性警察と制服の表象」
司会・ディスカッサント 池川 玲子(日本女子大学)

部会 E (パネル報告)                   
10:00―11:00
◆代表者:並河 葉子(神戸市外国語大学)
題目: 「女性たちの『生』を可視化する―ジェンダーからみるイギリス帝国」
報告 1 並河 葉子(神戸市外国語大学)
「イギリス領西インドにおける奴隷の女性たちの生殖管理とその後」
報告 2 森本 真美(神戸女子大学) 
「女をめぐる『感情』―帝国のジェンダーとセクシュアリティ」
報告 3 奥田 伸子(名古屋市立大学)
「第 2 次世界大戦直後における『白人』移民女性とイギリス社会 ―― 戦後イギ
リスにおいて『他者』とは誰であったか?」
司会 並河 葉子
ディスカッサント 長 志珠絵(神戸大学)
 

13:30-17:30 シンポジウム

貧困とジェンダー―「公助」の役割を問う

●趣旨文
「女性の活躍推進」の掛け声のもと、日本において女性の就業率は上昇を遂げたが、働く女性の多くは非正規雇用に従事している。非正規の職員・従業員の56%(2019年)を占める女性のなかには、新型コロナウィルスの感染拡大の直撃を受け、解雇や雇止めに追い込まれた人が数多く存在する。
コロナ禍で職を失い、貧困に陥り、心身の健康が脅かされる人びとが多数に上る一方、現代の日本において「公助」は「自助」「共助」に次ぐものとされ、軽んじられてきた。生活保護の相談件数の急増に福祉事務所の体制が追いつかず、「福祉崩壊」が起きているとの声が上がる。このような状況下において「公助」の果たす役割を問い直すことは喫緊の課題である。
「公助」は歴史的にみて必ずしも女性を解放してきたわけではない。たとえば米国において、伝統的な一夫一婦制をモデルとする家父長的福祉国家は、そのモデルに従わない女性を「逸脱」とみなし異性との法律婚へ誘導する一方、それでも従わない女性には「自助」を要求してきた。米国や日本のみならず、他地域においても、福祉政策がいかに人びとの〈生〉と〈性〉に介入してきたのか、ジェンダー規範をつくりだしてきたのかに留意すべきであろう。
「公助」はどのように「救済に値する者/しない者」の線引きを行い、「女性の貧困」(ないしダイアナ・ピアースが「貧困の女性化」と呼んだ現象)を押しとどめ/生み出してきたのだろうか。その過程において、慈善団体や相互扶助団体、宗教組織、家族、貧困層自身はいかなる役割を果たしたのか。本シンポジウムでは「女性の貧困」を比較史的な視点から問うことを目指したい。
「女性の貧困」は不平等な社会を映し出す鏡でもある。「女性の貧困」を起点とし、人種・エスニシティ、国籍、階級、ジェンダー、セクシュアリティ、障がいに基づく差別の構造を問う必要があるだろう。それは人種主義、新自由主義、排外主義、ホモフォビア、トランスフォビア、障がい者差別と対峙する運動・思想とフェミニズムを繋げる作業となり、「女性」のなかの差異に注目することにもなる。
以上のような多面的な視座に基づき、本シンポジウムでは「貧困とジェンダー」をテーマに、歴史学を中心としながら福祉社会学、貧困研究など学際的視点から「公助」の歴史と今日的意義を問うことを目標とする。
第一報告では、長谷川貴彦氏に、エリザベス救貧法に始まり現代へといたるイギリスを対象として、セーフティネットの解体と再構築という視点から、貧困と福祉の存在形態を明らかにしていただく。同時に、このような分析を可能としている貧困と福祉をめぐる歴史学的アプローチ全体の発展にも言及していただく。
第二報告では、佐藤千登勢氏に、大恐慌期にアメリカの農務省が行った余剰農産物の処理に起源を持ち、その後も農業政策と密接な関係を保ちながら変容を遂げてきたフードスタンプが、余剰農作物の消費拡大という目的の下、家政学や栄養学を通じて、どのように貧困女性が従うべきジェンダー規範を作り出したのかを明らかにしていただく。
第三報告では、丸山里美氏に、女性の貧困は売買春と切り離すことができないことをふまえて、売春防止法にもとづく日本の婦人保護事業について、歴史と現状をたどり、それが女性に何をもたらすものであったかを検討していただく。

●報告者
第一報告 長谷川貴彦(北海道大学)
「『貧困』と『福祉』の歴史学―イギリス近現代史の経験から」
第二報告 佐藤千登勢(筑波大学)
「低所得者への食糧支援とジェンダー―大恐慌期のアメリカにおけるフードスタンプの始まり」
第三報告 丸山里美(京都大学)
「貧困女性の生/性への介入―日本における売春防止法と婦人保護事業を中心に」

●コメンテーター
石川照子(大妻女子大学)
嵯峨嘉子(大阪府立大学)

●司会
土屋和代(東京大学)